岩石ーCO2反応と二酸化炭素地層貯留(CCS)

地球温暖化による気候変動が加速する現在、CO2の削減は人類の急務です。岩石–流体反応による二酸化炭素地層貯留は、安定的なCO2の固定方法として注目されています。その反応機構は,天然の岩石–CO2反応帯にヒントがあります。天然の岩石―CO2反応帯の観察からは、反応による体積変化で岩石が破壊し、反応表面積や流体流量が増加することで反応が促進されることが推察されています.しかしながら、このような反応が加速していく様子が実験的に再現されたことはなく、その過程はまだ分かっておらず、大規模な地層貯留が現実的に可能かどうかは検討が必要です。岡本・宇野研究室では地下の高温高圧条件下での岩石―流体反応を再現できるオリジナル実験装置で、反応加速過程の条件を明らかにしつつあります。Uno et al. (2022) PNAS https://doi.org/10.1073/pnas.2110776118

プレスリリース 「化学反応によって岩石が破壊され、水や二酸化炭素が持続的に固定されるメカニズムを解明」

最もCO2と反応性が高い岩石は、MgやFeなどを豊富に含むマントルかんらん岩や玄武岩です。一方、日本により多く存在する火山岩は安山岩であり、当研究室ではその特徴的なCO2鉱物固定化プロセスについても検討しています。

さらに、莫大な量の表層環境の炭素は、炭酸塩や炭質物として、沈み込み帯から地球内部に持ち込まれます。この炭素が地球内部でどのように循環するのか、地震などの地球内部の力学的性質にどのような影響を与えているのか、というグローバルな視点からも研究を進めています。詳しくはこちら

カルフォルニアの蛇紋岩に観察されるCO2固定化反応.反応に伴って亀裂(白い脈)が生じている.スケールは共同研究者のアメリカ地質調査所Steve Kirby博士.