9/21-23に本課題の分担研究者である東北大学院理学研究科 武藤 潤教授と東北大学学生・院生および静岡大学理学部 平内健一准教授らは、長崎県の西彼杵・野母変成岩体中に露出するかつての深部プレート境界を対象に、フィールド調査と試料採集を行いました。両変成岩体は、熊本大学 西山忠男先生が長年精力的に調査されてきた地域で、かつての深部プレート境界で起こる変形と流体反応の相互作用を知ることのできる貴重な地質体です。最近では、ダイヤモンドの産出も報告(Nishiyama et al., 2020 Sci. Rep.) されるなど、炭酸塩化の観点でも非常に重要なフィールドです。
今回、我々は、深部プレート境界での蛇紋岩体の変形機構と炭酸塩化も含む各種流体との反応の多様性を知ることを目的に調査を行いました。その結果、西彼杵変成岩の蛇紋岩類はブロックインマトリックス構造を示すのに対し、野母変成岩類では強く面構造の発達した流動変形を示すなど、両地質体で蛇紋岩の異なる変形組織を見ることができました。今後、得られた試料の各種解析を通じて、プレート境界の力学特性を決める蛇紋岩の様々な変形機構を明らかにするとともに、実験的にその力学特性を明らかにしていくことが望まれます。
写真)長崎県脇岬における蛇紋岩体のサンプリングの様子