2024年1月26日に第9回の岩石ー流体セミナーを行いました。講演者は東北大学で研究分担者の宇野正起さんで、蛇紋岩の炭酸化に伴う反応誘起破壊に関する実験的研究についての講演でした。
ブルース石の選択的溶解による蛇紋岩炭酸塩化における反応誘起破壊
反応による体積膨張が岩石を破砕する反応誘起破壊は,自然界で鉱物炭酸塩化を促進する重要なプロセスと考えられているが,これを実験的に再現した例はない.我々はブルース石に富む蛇紋岩を200℃で1M NaHCO3水溶液と反応させることで,おそらく世界で初めて,炭酸塩化に伴うマクロな反応誘起き裂の生成に成功した.炭酸塩化反応は,細粒の蛇紋石+ブルース石集合体からブルース石が選択的に溶解し,既存き裂にマグネサイトが析出することで進行しており,析出したマグネサイトがき裂を拡張することで,マクロな試料の破壊が進展している.本講演では,反応組織から炭酸塩化に伴う破壊プロセスを議論するとともに,室内実験とフィールドの破壊挙動の違いとその支配要因について議論する.