Ryosuke Oyanagi, Atsushi Okamoto
Subducted carbon weakens the forearc mantle wedge in a warm subduction zone
Nature Communications 15, article number 7159, https://doi.org/10.1038/s41467-024-51476-6
地球の中の水の循環はプレート境界の地震や火山の形成に大きな影響を与えることは知られています。一方、莫大な量の炭素が沈み込み帯から地球内部へ持ち込まれているにも関わらず、そのプレート境界への力学的影響はよくわかっていませんでした。本研究では、最先端の熱力学モデルを用いて、東北日本と西南日本の沈み込み帯に炭素を含む堆積物が持ち込まれたときに、プレート境界、特に島弧の下のマントルと接する部分に何ができるかを計算しました。その結果、マントルウェッジ先端に対応する深度で、東北日本のではあまり流体が発生せず変化が少ないのに対して、西南日本では大量の炭素を含む流体が発生して、炭酸塩+滑石の層を形成することがわかりました。マントルウェッジ先端部分では、特徴的なスロー地震が観測されていますが、厚い滑石の層が形成することが、スロー地震を含めた地震発生領域から深部の安定すべりの領域への遷移を決めている可能性が示唆されます